こんばんは、はる子です。
今回も、進撃の巨人について語りたいと思います。
前回は、ハンジの巨人に対する熱意がよく分かったところで、捕らえていた2体の巨人が何者かに殺されてしまうというシーンで終わりましたね。
最後のエルヴィンの言葉にも引っかかりますが、今回はどんな事が起きるのか不安もありつつワクワクもしますね。
エピソード16について
冒頭で、巨人を殺した犯人探しが行われていました。新兵にのみ絞っているようでしたが、どうやら立体機動装置を確認している様子でした。
「巨人が憎くてしょうがなかったんだろうな」
コニーが自分の番を待ちながら、隣にいるアルミンに言います。ですがアルミンは、お得意の勘の鋭さが分かる返答をします。
「うん。でもこれじゃ巨人に手を貸したようなもんだよ。その人の復讐心は満たされたかもしれないけど、人類にとっては打撃だ」
そうなんですよね。復讐心から殺したのだとしたら、確かにその人の心は満たされたかもしれません。ですが結果として巨人の生体を探る貴重な機会が無くなってしまったのも事実です。
「俺はバカだからな、分かる気がする。巨人を見る前は俺、本気で調査兵団になるつもりだったんだぜ。けどもう二度とみたくねえ。今日、所属兵団を決めなきゃいけねえのに」
コニーは調査兵団に入るという気持ちが揺らいでいるように見えます。そして、近くにいたジャンに目を向けると、心の中で呟きます。
(ジャンのやつ本気で…)
ジャンの決意
ここで場面は変わり、作戦後に回収していた遺体を燃やしているシーンになります。コニーは頭を抱えて泣き崩れ、ジャンは頭の中で考えを巡らせます。
(みんな後悔してる。こんな地獄だと知ってりゃ兵士なんか選ばなかった。精根尽き果てた今、頭にあるのはそればっかりだ)
火に近づいて、落ちている骨を手に持ち呟くジャン。
「なあ、マルコ。もうどれがお前の骨だか分からなくなったよ」
(兵士になんかならなければ、次は誰の番かなんて考えずに済んだのに)
ここでジャンは、過去のエレンの演説を思い出します。
「何十万の犠牲で得た戦術の発達を放棄して、おとなしく巨人の餌になるのか?」
(分かってんだよ、戦わなきゃいけねえことくらい。でも、誰もがてめえみたいな死に急ぎのバカにはなれねえ)
ここでジャンは、マルコの姿が見え、マルコに言われた言葉を思い出します。
「怒らずに聞いてほしいんだけど、ジャンは強い人ではないから、弱い人の気持ちがよく理解できる。それでいて、現状を正しく認識することにたけているから、今何をすべきか明確に分かるだろ?」
このマルコの言葉は、これからきっとジャンが悩んだ時や挫けそうになった時に助けになると思います。ですが同時に、呪縛にもなり得るのではないかなとも思いました。
真面目で責任感の強いジャン、というのがジャンの性格だと個人的には思っているので、そんな彼にとって呪縛にならないといいなと思っていますね。
(『今、何をすべきか…』)
何かを決意したかのように、ジャンは周りに宣言します。
「おい、お前ら。所属兵科は何にするか決めたか?俺は決めたぞ。俺は…俺はっ…調査兵団になる!」
嗚咽しながらそう宣言するジャンからは、色々な感情が読み取れる気がしますね。本当は調査兵団には入りたくない、マルコの気持ちに応えたい、巨人を倒したい、巨人が怖い、死にたくない、友人を失いたくない。
色々な感情から、ジャンが一大決心をしたこのシーンが個人的にはグッとくるシーンでした。
アニに対する疑問
場面は戻り、立体機動装置を確認するための列に並んでいるコニーたちに戻ります。
「クッソ…なあアニ、お前はどう思った?あのジャンが調査兵団になるって言ってんだぜ」
「え?ジャンが?」
「別に」
コニーの言葉に対して、アルミンとアニはそれぞれ反応を示します。
「お前は憲兵団だもんな、やっぱり俺もそっちにしたほうがいいかな」
コニーのこの言葉に対して、アニはこう返します。
「あんたさあ、人に死ねって言われたら死ぬの?」
「なんだそりゃ、死なねえよ」
「なら自分に従ったらいいんじゃないの」
アニらしいセリフですが、ちゃんとコニーのために言っている言葉に聞こえました。少なくとも私はそう感じました。
「アルミン、あんたはどうなの?」
「え?僕は…死ぬ理由が理解できたら、そうしなきゃいけない時もあると思うよ。イヤだけどさ」
「そう、決めたんだ」
「うん。前からそのつもりではあったんだけど」
「あんた、弱いくせに根性あるからね」
このアニとアルミンの会話によって、アルミンが調査兵団に入ると決めている事が分かりますね。3つの兵団の中で、死が一番身近になるのは調査兵団ですから。
「あ、ありがとう。アニってさ、実は結構優しいよね」
「は?」
「だって、僕らに調査兵団に入ってほしくないみたいだし、憲兵団に入るのも、何か理由があるんじゃないの?」
「別に。私はただ、自分が助かりたいだけだよ」
ここ、重要シーンだと思います。アニが自分が助かりたいだけだと話している時、アルミンの視線はアニが出した立体機動装置にあるように見えました。
まさかな、とは思いつつ、ここで「巨人を殺したのって、アニ?」という疑惑が私の中では生まれました。
新兵勧誘式
アルミンたちは、新兵勧誘式のために待機しているところでした。そこへジャンがやってきたので、アルミンがジャンに聞きます。
「ジャン!本当に調査兵団に?」
「ああ」
「どうして突然…その…怖くはないのですか?」
サシャも決めかねているのかジャンに尋ねます。この後のジャンの言葉が個人的に好きですね。
「はあ?イヤに決まってんだろ調査兵団なんて」
「えっ?じゃあお前、なんで?」
「別に巨人が怖くないからそう決めたわけじゃねえよ。それに、有能なやつは調査兵団に入るべきだ、なんて言うつもりもない。俺は『死に急ぎ野郎』とは違う」
「エレンか…あいつはとっくに調査兵団に入ってるんだよな」
「俺はな、誰かに説得されて自分の命をかけてるわけじゃない。こればっかりは自分で決めずに務まる仕事じゃねえよ」
ここのジャンのセリフで、ジャンは調査兵団に入るという決意が自分のものになったんだな、と思いました。マルコを原因にするわけでもなく、誰かに頼まれたからやるのでもない。自分で考えた結果、調査兵団に入る事を決めたジャンのお気に入りのシーンです。
そしてここでもう一つのお気に入りのシーンといえば、エルヴィン団長の演説(勧誘)です。
「今回の巨人の襲撃により、諸君らはすでに、巨人の恐怖も己の力の限界も知ってしまった事だろう。しかしだ。この戦いで人類は、これまでにないほど勝利へと前進した。エレン・イェーガーの存在だ。彼が間違いなく我々の味方である事は、彼の命懸けの働きが証明している。」
「さらに我々は、彼によって巨人の侵攻を阻止するのみならず、巨人の正体に辿り着く術を獲得した。彼の生家があるシガンシナ区の地下室には、彼も知らない巨人の謎があるとされている。その地下室に辿り着きさえすれば、我々はこの100年にわたる巨人の支配から脱却できる手がかりを掴めるだろう」
長いので、全てエルヴィンの言葉ですが分けています。エルヴィンはエレンの生家の地下室にカギがあるという事も伝えてしまったため、アルミンは驚きます。
「いくら兵士を集めたいからって、その事まで公にするなんて…それとも何か意図が…団長はいったい何を見ようとしているんだ?」
ここも気になりました。前回の最後でエルヴィンがエレンに言ったセリフにもありました。「君には何が見える?」と。アルミンは、エルヴィンが見ているものが分かるのではないかなと思いますね。
「我々はシガンシナ区の地下室を目指す。ただそのためにはウォール・マリアの奪還が必須となる。つまり目標は今まで通りだが、トロスト区の扉が使えなくなってしまった今、東のカラネス区から遠回りするしか無くなった。4年かけて作った大部隊の行路も、全てが無駄になったのだ。その4年間で、調査兵団の6割以上が死んだ。4年で6割だ、正気の沙汰ではない数字だ。」
「今期の新兵にも、1ヶ月後の壁外調査に参加してもらうが、死亡する確率は3割といったところか。4年後にはほとんどが死ぬだろう。しかし、それを超えた者が生存率の高い優秀な兵士となっていくのだ。」
「この惨状を知った上で、自分の命を賭してもやるという者は、この場に残ってくれ。自分に聞いてみてくれ。人類のために、心臓を捧げる事ができるのかを!…以上だ。他の兵団の志願者は解散したまえ」
周りはどんどん離れていく中で、ジャンは踏ん張っています。
(クッソ、頼むぞ…決めたんだ。これ以上自分を嫌いにさせないでくれ)
思わず動いてしまいそうな足を、これ以上自分を嫌いにならないために踏ん張っているのだと思うと、ジャンの中の葛藤が理解できる気がします。
(今ここから動かないとまた…)
(俺はもともと憲兵になるために村を出たんだ。母ちゃん喜ぶぞ憲兵になったら。村のみんなも俺を見直す)
サシャとコニーは、反対にこの場から逃げるなら今だと自分に言い聞かせていますね。
(俺たちはもう知ってる。もう見ちまった)
(巨人がどうやって…)
(人間をたべるのか…)
ジャン、コニー、サシャの3人の葛藤で泣きました。死にたくないなんて、全人類が思うような事だと個人的には思っています。それでも動かないのは、巨人が人間を喰うところを見たから。戦うためなのだと私は受け取りました。
「君たちは『死ね』と言われたら死ねるのか?」
エルヴィンのこの言葉は、アニがコニーに対して言った言葉とほぼ同じですね。訓練兵の一人が、死にたくないと叫びました。
「そうか。みんな、いい表情だ。では今、ここにいる者を、新たな調査兵団として迎え入れる。これが本物の敬礼だ。『心臓を捧げよ!』」
エルヴィンのこの号令で、その場にいる訓練兵は見事な敬礼をして見せました。
「最悪だ、調査兵なんて」
「怖い…村に帰りたい…」
「もういいや、どうでも」
ジャン、サシャ、コニーは口々に言葉を口にします。もう戻れません。
「よく恐怖に耐えてくれた。君たちは勇敢な兵士だ。心より尊敬する」
エルヴィンのこの言葉と共に、新兵勧誘式は終わります。そして、場面は変わり、エレンと他の訓練兵たちが再会するシーンになります。
エレンが声をかけた瞬間、アルミンとミカサが飛んできますが、ミカサからの質問責めにあった結果ミカサはとんでもない事を口にします。
「エレン、何かひどい事はされてない?体を隅々まで調べ尽くされたとか、精神的苦痛を受けたとか」
「ねえよ、そんな事は」
「あのチビは調子に乗りすぎた。いつか私が然るべき報いを…」
「まさか、リヴァイ兵長の事を言ってんのか?」
リヴァイをチビと呼べるのは、後にも先にもミカサしかいないと思います。(笑)
コニー、サシャとも再会し、ジャンまで調査兵になった事を知り驚くエレンでしたが、そこでマルコの死を知り呆然とします。
全員の制服が届き、羽織った仲間達。そこにマルコがいない事を改めて実感し、「仲間は死なない」という考えはただの夢である事を痛感している気がしました。
ジャン、また一皮むける
訓練兵同士で集まり、今回の作戦に参加する事になったと話していると、ジャンがエレンに、巨人になっている時にミカサを殴ろうとした事は本当かと問います。そしてエレンは、記憶がない事、そして巨人の力を掌握する術も持っていない事を正直に話します。
「俺たちはマルコのように、エレンが知らないうちに死ぬんだろうな」
ジャンがこう言うと、ミカサはここでエレンを追い詰めてなんの意味があるのかと問いますね。
「あのなあ、ミカサ。誰しもお前みたいになあ、エレンのために無償で死ねるわけじゃないんだぜ。知っておくべきだ。俺たちは何のために命を使うのかを。じゃねえと、いざという時に迷っちまうよ。俺たちはエレンに、見返りを求めてる。きっちり値踏みさせてくれよ。自分の命に見合うのかをな」
「だからエレン、お前…本当に、頼むぞ」
ジャンは、最後の言葉をエレンの肩を掴みながら言い、エレンは改めて自分にどれほどの人間の命がかかっているのか実感しているように見えました。
作戦当日、開門を待っている調査兵団を、家の窓からキラキラした表情で覗いている少年少女を見て目を細めるエレン。自分達を思い出していたのでしょうか。
「進めーっ!!!」
エルヴィンの声で次々と走り出す兵士たち。
「第57回壁外調査を開始する!前進せよ!」
このエルヴィンの言葉でエピソード15が終了します。
今回は、エレン含め訓練兵たちが正式にそれぞれの兵団に入団しましたね。これからエレンは、人類のために巨人の力を最大限いかしていく事になります。
早くも次回が気になります。(笑)
今回も読んでいただいてありがとうございました。
はる子