こんばんは、はる子です。
今回も、進撃の巨人について語りたいと思います。
今回、個人的にとても泣いたシーンがある回です。是非とも皆さんとシェアしたくてうずうずしていました。例に漏れず長くなったらすみません。(笑)
エピソード10について
前回の最後で、ミカサとアルミンを守るために大勢の兵士の前で巨人の姿になったエレン。
ミカサとアルミンにとってエレンは友達なので、巨人であっても怖がる事はないかもしれませんが、他人からしたら恐怖の対象でしかないですよね。
今まで人間の敵として倒してきた巨人が、味方になり得るなんて誰が信じられるでしょう?
兵士たちの気持ち
私、このシーンが人間らしさが出ていて好きです。
「仲間が目の前で喰われた!仲間が喰い殺されたのに、俺は悲しみも憎しみも感じなかった!ただ…心底『俺じゃなくてよかった』って思った…」
「でも、次は俺の番だ…気付いたんだ…俺たちの仕事ってのは、つまりは巨人に喰われるまで戦わされ続けるって事なんだろ!喰い殺されるくらいならいっそ今…!」
これ、一般的な感覚としては正しいのかなと思っています。人間、自分が助かればそれで良いと思っている人は数えきれない程いると思います。
そして、こんな緊張状態や興奮状態であればそれこそ本音は出てくるでしょう。
「サシャを見ろ!あんな目に遭ってもなお、気高き兵士のままだ!」
というマルコのセリフの後、サシャが叫びます。
「うわああああ!…あの…お腹痛いんで負傷者にしてもらってもいいですか?」
このサシャのセリフでもっと絶望的な表情になる兵士。
ジャンはこんな状況下でも冷静に現場を把握する事に努めていますね。
そこで突然、砲声が鳴り響き兵士たちは動揺します。理由が分からず尚更パニックになる兵士たち。
ライナーはいてもたってもいられなくなり、建物の上目がけて飛んでいきます。それに続くアニ、ベルトルト、ジャンは、とんでもないものを目にします。
エレンの巨人化
場面は、エレンが巨人化してミカサとアルミンを守ったところに戻ります。
アルミンは少し怯えた様子ですが、ミカサは冷静に状況を把握しようとしているように見えます。
相変わらずおっさん(キッツ)は怯えまくって大した指示を出せません。待機としか言えません。
ここで初めて、巨人化している時のエレンの視点を見る事ができます。どうやら体が固定されているようで、抜け出すのに少し手こずっていましたね。
そして、巨人から抜け出してからは巨人は動かないという事が分かりました。
アルミンは一生懸命に現状を把握しようと、今起こった事を口に出して落ち着こうとしますが、
「エレンが私たちを守った。今はそれだけ理解できればいい」
とミカサが言った事で、アルミンは少しだけ冷静さを取り戻し、骨状態のエレンの内側にだけ花が咲いている事に気付いていました。
エレンはミカサとアルミンのもとまでやって来て、二人が大丈夫な事を確認すると巨人の下から離れるよう言いました。
骨が崩れてきていたのですね。おっさん(キッツ)率いる駐屯兵団はまだ動きがなさそうですが、エレンは現実的に考えて冷静にこう言います。
「こんなもん見せた後で会話できる自信は、俺にはない。」
いや、本当に、この冷静さを1%でもいいからおっさん(キッツ)にあげたいです。そして、エレンのこの言葉も理解できます。
この光景を見てもなお、人間と言われても受け入れる事は難しいでしょう。
「ただ、一つだけ思い出した。地下室だ。俺ん家の地下室。そこに行けば全て分かるって親父が言ってた。」
「俺がこうなっちまった原因は、親父だ。地下室に行けばおそらく、巨人の正体もわかるんだ。」
エレンが巨人化してしまう原因も、グリシャにある事がここで分かりますね。
「だとしたら、何で隠した?その情報は何千人もの調査兵団が命を落としても求め続けた人類の希望ってやつじゃないのか?」
「それを俺ん家の地下室に大事にしまっていたっていうのか?何考えてんだ、一体」
エレンからは、グリシャに対する怒りを感じられます。そりゃあそうですよね、あの5年前の出来事から消息が不明ですし、子供を放ってどこにいるんだ、とエレンが怒っても不思議はありません。
そこで巨人の抜け殻(という表現でいいものか…)が本格的に崩れ始めます。
エレンは、この場を離れて壁を乗り越え、自分の家の地下室を目指すと言い出します。
エレンの鼻からは鼻血が流れ、呼吸も荒く体に異常をきたしている事をアルミンが指摘してもなお、エレンは気にせずここから抜け出す方法をミカサとアルミンに伝えます。
アルミンの(個人的)神回
エレンは、個別で行動する事を伝えますが、ミカサはそれを良しとせず自分もついていくと言います。そこでエレンとミカサが言い合いになってしまうんですね。
おっさん(キッツ)はまだどうしたら良いか分からずに、合図をするまで待つよう兵士たちに伝えます。
ここから、アルミンの思考を覗く事ができます。
「今のところ駐屯兵団が白兵戦を仕掛けてくる気配はない。そんな気配があれば、ミカサが野良猫よりも早く察知しているだろう。最短時間で砲弾が装填されたとして、後20秒ほどかかるだろうか。エレンはそれ以内に行動して、ここから去っていくだろう。」
ここでまた、幼少期いじめられていた時にエレンとミカサが助けてくれた時の事を思い出すアルミン。
「もうこれが、僕たちの最後だから?」
「結局僕は最後まで、臆病者以外の何かにはなれなかった。僕は何度も二人に助けられたけど、僕が二人を助けたことは、とうとう一度もないままだ。」
「これでどうやって、対等な友人と言えるだろうか?どうやって、僕も一緒に行くなんて事が言えるんだ。ついていける、自信もないのに。」
「もう、これで、3人が揃う事も、ないだろう。」
アルミンは、ずっとエレンとミカサに負い目のようなものを感じていましたね。自分だけ役に立っていない。助けた事もない。なのに、一丁前に助けられた事は何度もある。
役に立った事もない自分が、ついて行くなんて恐れ多くて言い出せない。だって、役立たずだから。
こう思っていそうです。
ですがここで、エレンが言います。
「考えは2つあるって言っただろ」
「アルミン。あとはお前の判断に任せる。」
アルミンは心底驚いた顔をしてエレンを見ます。そしてエレンは言葉を続けます。
「俺だって、今の話が現実性を欠いている事は分かってる。この巨人の力は、兵団のもとで計画的に機能させるのが一番有効なはずなんだ。」
「無茶を言うが、アルミンがもしここで、俺は脅威じゃないって事を駐屯兵団に説得できると言うなら、俺はお前を信じてそれに従う。これが2つ目の考えだ。」
「お前ができないと言えば、さっきの最終手段に出る。15秒以内に決めてくれ。できるか、できないか、俺はどっちでもお前の意見を尊重する。」
アルミン、放心状態ですね。でもね、アルミン、エレンのこの言葉は、とてもじゃないけどアルミンの事を臆病者と思っている人間の言葉には聞こえないよ。
「どうして僕に、そんな決断を託すの?」
「お前ってやばい時ほど、どの行動が正解か当てる事ができただろ。それに頼りたいと思ったからだ。」
「いつそんなことが…」
「色々あっただろ。5年前なんかお前がハンネスさんを呼んでくれなかったら、俺もミカサも巨人に喰われて死んでた。」
アルミンがその事に気付いた時の描写が、巨人の骨が崩れ落ちる事で表現されているこのシーンは鳥肌が立ちました。
「僕が勝手に、思い込んでただけだ。勝手に、自分は無力で足手まといだと…2人はそんな事、思ってなかったのに…!」
そう、5年前のあの日、アルミンは怖くて動けないような描写でしたが、ハンネスを呼んでエレンとミカサを助けに行くよう頼んでいたんですね。
アルミンは、確かに怖がりかもしれません。
エレンのように何クソ精神で動けないかもしれません。
ミカサのような実力もないかもしれません。
でも、アルミンにはアルミンの強さがあって、それにエレンとミカサは気付いていました。
アルミンだけが、自分の強みに気付けていなかった。
でも、もう大丈夫。世界で一番の味方が2人もついていて、自分の強みに気付いたアルミンは、文字通り強くなれたんです。
「僕に命を預けると言っている2人は、僕がこの世で最も信頼している人間だ。これ以上の説得力がどこにある!」
そしてアルミンは、2人にこう言います。
「必ず説得してみせる。2人は極力、抵抗の意思がない事を示してくれ。」
煙の中を歩いて行くアルミンは、ある事を考えていました。
「エレンが巨人になって戦っていた時から、ずっと引っかかってた事がある。まだ考えがまとまってないけど、やってやる。喋りながらでも考えろ!」
ここでアルミンは、自分にも抵抗の意思がない事を示すために武器諸々を腰から外します。
そして、周りの武器という武器がアルミンに向けられている中で、アルミンの名演説が始まります。
「彼は人類の敵ではありません!私たちには、知り得た情報の全てを開示する意思があります!」
…おっさん(キッツ)が敵ではないという証拠を出せと言いますね。
「証拠は必要ありません!そもそも我々が彼をどう認識するかは問題ではないのです!」
「大勢の者が彼を見たと聞きました!ならば彼が巨人と戦う姿も見たはずです!周囲の巨人が彼に群がっていく姿も!」
「つまり巨人は、彼の事を我々人類と同じ捕食対象として認識しました!我々がいくら知恵を絞ろうとも、この事実だけは動きません!」
このシーンは、本当に何度見ても涙が流れます。アルミンの頭の回転の速さ、言葉の選び方、全てが素晴らしいです。おっさん(キッツ)の頭でも理解できるように話してあげています。
そして、周りの兵士も実際に自分たちの目で見た事を真実とし、武器を下ろす者も現れます。
それに焦るのがおっさん(キッツ)。もう何を言ってもこの人には届きません。考える事を諦めた人間には、何を言っても届かないのだという事をおっさん(キッツ)は教えてくれました。ありがとう、おっさん(キッツ)。
おっさん(キッツ)の渾身の叫びに、再び武器を手に取る兵士たち。前回も言いましたが、兵士はボスに従います。例えそれが間違っているかもしれない、と思ったとしてもです。
「だめだ。考える事を放棄してる。考える事が怖いんだ!」
上手くいかなかったと思い、思わずエレンとミカサを振り返るアルミン。しかしエレンは、笑みを浮かべながら頷くだけ。
ここからです。
アルミンは、拳を勢いよく胸に掲げ、こう叫びます。
「私はとうに、人類復興のためなら心臓をささげると誓った兵士!その信念に従った末に命が果てるのなら本望!彼の持つ巨人の力と、残存する兵力が組み合わされば、この街の奪還も不可能ではありません!人類の栄光を願い、これから死にゆくせめてもの間に、彼の戦術価値を説きます!!!!」
涙腺崩壊、嗚咽混じりに見た事を思い出してこれを書いている今も涙が流れています。アルミンの強さがここに全て詰まっているのです。
エレン、ミカサ、そしてアルミンの3人の絆、友情、信頼、全てがあるからこそできた行動。
このシーン、アルミンと同じように敬礼をしながら見ていた方もいるのではないでしょうか?(私は嗚咽しながら敬礼していました)
そして、ここで完璧におっさん(もう名前も書いてあげない)が嫌いになりました。
どうしてこの人が隊長になれたのか不思議でなりません。どうしてでしょう?
3人を反逆者と言い放ち、排除するのが兵士の務めときた。少しは微量な脳を使っていただきたいものですね。
おっさんは合図を出そうとしますが、横からおっさんの腕を掴み一言、
「よさんか。」
そう、我らがビッグ・ボス、ドット・ピクシス司令の登場です。正直、誰か来てくれるのを待っていたので、来てくれたのがピクシスと知った時にもう一度無事涙しました。
「相変わらず図体の割には小鹿のように繊細な男じゃ。」
私のように汚い言葉を一つも使わずに、おっさんを笑い物にできるその器量、見習いたいです。
「お前にはあの者の見事な敬礼が見えんのか。」
そう、そうそう!言いたい事を全て冷静に言ってくれて胸のつかえが取れたような感覚です。
そしてピクシスは、おっさんを増援の指揮につかせ、自分はアルミンたちの話を聞くと言いました。
ここでアルミンは、腰が抜けたのか地面に崩れ落ちてしまいます。頑張ったね、アルミン。
ドット・ピクシス
ピクシスは、ウォール・ローゼのトロスト区を含む、南側領土を統括する最高責任者であり、人類の最重要区防衛の全権を託されている人物です。
兵士たちは皆ピクシス司令と呼び尊敬しています。
ピクシスという人間の性質は、お茶目、おちゃらけ、生来の変人といったところでしょうか。
事実、超絶美女の巨人になら喰われてもいいと言ってしまう人間です。(笑)
ピクシスは、エレンに地下室の話を聞き、3人の命を保障する旨を伝えてくれました。
そして、アルミンの「巨人の力を使って街を奪還する作戦」が本音なのか、苦し紛れの命乞いなのかを問います。
アルミンは「両方だ」と伝えます。アルミンが以前も少しだけ触れていた大岩の話。あれをエレンが持ち上げて、空いた穴を塞ぐという作戦の事を言ったつもりだったと話します。
「もちろん、助かりたい一心でしたが…」
このアルミンの言葉にピクシスは、
「助かりたい一心…何より信用できる言葉だ。」
と返し、ぐびっと酒を飲んだ後、エレンに問います。
「おぬしは、穴を塞ぐことができるか?」
エレンは自信なさげに答えます。するとピクシスは聞き方を変えてこう問い直します。
「おぬしは、やるのかやらんのか、どっちだ?」
この言葉にエレンは反応し、ピクシスの目線を追うとそこには街が広がっていました。
そしてエレンは覚悟を決めた目で答えます。
「やります!」
ここでエピソード10が終了します。
本当に、今回は長いと思いますが、ここまでお付き合いいただいてありがとうございます。
個人的には今回のアルミンはずっと私の心に居続けると思っています。アルミンに勇気をもらいました。
そして、ここまで信頼し合える友人がいる事に、少し羨ましさを感じました。いいなあ。
次からは、本当に短くできたらいいなと思っています、努力します。
今回も読んでいただいてありがとうございました。
はる子