こんばんは、はる子です。
前回に引き続きネタバレになる可能性があるのでご注意ください。
前回は地鳴らしが進んで世界を破壊していくエレンと、止めるために整備を進める調査兵団と仲間たちを見ることができました。
エレンは止めてほしいと思っているのではないかと思ったのですが、どうなるのか。
いきましょう。
今回のタイトルは「罪人たち」です。
88話1−2
別れ、後悔、許し
整備がほぼ完了し装備の確認をする調査兵団。
ライナーは自分がしたことを後悔しアニに謝罪していました。
「ずっと謝りたかった、お前とベルトルトに…全てはあの日、俺が作戦を続行したことから始まった。あの日もし引き返していたら、お前もベルトルトも故郷に帰って家族に会えたのに…謝ることすらおこがましく思える」
ライナーはあの日からずっと苦しんでいるのでしょう。大虐殺をしてから反省しても意味がないことはライナーが1番分かっていると思います。
アニは「何度殺そうとして思いとどまったか分からない」と言いますが、ライナーが「よく我慢できたな」と言ったあとのアニの微笑みが、それでもライナーを仲間として許しているように感じました。
調査兵団についていくと言ったピークとハンジの会話。
「ピーク…ぜひ今度、車力の巨人の背中に乗ってその体温を感じながら…」
「イヤです。何ですか急に、気持ち悪い」
進撃の巨人がこういうシーンを入れてくるときは何かが起きるときです。面白いんですけど、笑えるんですけど、でもこれはイヤな感じがします。
そしてリヴァイとハンジのこのやり取りが余計に不安にさせます。
「ねえ…リヴァイ。みんな見てるかな?今の私たちを…死んだ仲間に誇れるかな?」
「ヤツみてえなこと言ってんじゃねえよ」
これエルヴィンがリヴァイに言った言葉じゃないですかー…フラグでしょこれ…と思う余裕を与えてくれない進撃の巨人。
オニャンコポンのうしろに人の影。
フロック、生きてる…!!!
確かに撃たれたのは肩だったはずですが我々は船でここまで来たんですよ?フロックは負傷しているにも関わらず船にしがみついていたということですよ?
こちらが驚く暇もなく銃を撃つフロックですが、異変に気付いたミカサの速さたるや…ミカサ、立体機動装置をフロックの喉に刺してる…
たださすがフロック、燃料タンクに見事に穴を開けてくれました。
一瞬、全員が呆然としますが整備士が溶接をして穴を塞ごうと動き出します。
ですが「あれ」は待ってくれません。
地面が揺れ始め、建物が軋み出す。
地鳴らしです。
傾斜で転ぶ巨人を見て「巨人も転ぶんだなあ」なんて考えてしまう悪い癖。
必死で閉じ込められているドアを叩くガビとファルコに、それを止めるアニ。
1人で出港の準備をするキヨミ。
溶接を急ぐオニャンコポンと整備士たち。
「アルミン…何か手はないの?」
ミカサの言葉にアルミンとライナーがそれぞれ自分がどうにかすると言っていると。
「ダメに決まってるだろ」
ハンジ。
「みんなをここまで率いてきたのは私だ。大勢の仲間を殺してまで進んできた。そのケジメをつける」
ハンジはアルミンの方へ歩き出すとこう言います。
「アルミン・アルレルト。君を、15代調査兵団団長に任命する」
意図が分かり嗚咽するしかできませんでした。
「調査兵団団長に求められる資質は、理解することを諦めない姿勢にある。君以上の適任はいない。みんなを頼んだよ」
ハンジの言うことは正しい、確かにその資質を持っているのはこの中でアルミンだけだと思います。
いつもの調子で「じゃあね、みんな」なんて言わないでほしい。
ハンジが歩き始めた先にはリヴァイ。もうこれ以上やめてくれ…
このまま行かせてくれと言うハンジにリヴァイがしたことは、ハンジの胸に拳を当て
「心臓を捧げよ」
と言ったことでした。涙で前が見えない…ハンジの言う通り、リヴァイは今まで一度もこの言葉を言ったことはありませんでした。
リヴァイにとってハンジは特別で、それはハンジにとっても同じでしょう。リヴァイが覚悟を決めた表情をしたのもきつかったです。もうずっときつい。
14代調査兵団団長、ハンジ・ゾエ
ハンジは空に向かって飛んでいくと、
「やっぱり巨人って素晴らしいな…」
と呟き次々に巨人を倒していきます。
ハンジが時間を稼いでいる間もオニャンコポンたちは急いで穴を塞ぎ、飛行艇は飛び立ち船も無事出港できました。
ハンジは実力があって巨人が大好きで、お茶目で可愛くて格好良くて変わり者だけどみんなに好かれてた。
ハンジ、ここまでみんなを引っ張ってくれてありがとう。
一緒に戦ってくれてありがとう。
私はハンジが初めて登場したときからハンジが好きでした。
飄々とした態度の裏で調査兵団のこと、エレンのこと、これからのパラディ島のことを考え、そして団長としての重圧に耐えていたハンジ。
お疲れ様でした、ハンジ。ありがとう。
泣きじゃくる調査兵団に、オニャンコポン。
そして、リヴァイの言葉。
「じゃあな、ハンジ…見ててくれ」
リヴァイは泣かないけれど表情で語るのが本当に上手で、リヴァイの表情に何度泣かされたことか分かりません。
巨人が踏み鳴らした後の大地に寝転ぶハンジ。
「飛行艇は?!」
と叫ぶハンジに、え?!生きてたの?!と思いきや聞き覚えのある懐かしい声。
「飛び立ったよ」
エルヴィンでした。それにこれまでに死んだ仲間たちも。ミケ、ナナバ、そしてモブリット。顔は見せていませんがキースとサシャが後ろにいるように見えます。
「ハンジ、お前は役目を果たした」
死んだみんながいることで自分も死んだことを認識したようでしたが、少し悲しそうな表情にまた涙腺が緩みます。
モブリットが差し出した手を自然に握るハンジ。ようやくモブリットに会えたね。
ハンジの歩いたあとに足跡がないことでハンジが死んだことを表しているのがまた泣かせにきてる…
そしてピクシスらしき人がいるように見えたのも気のせいじゃないことにしておきます。
「まったく団長なんかに指名されて大変だったよ。エレンのバカがさあ」
「ああ、大変だったな。ゆっくり聞くよ」
「うん」
ハンジの最期をこういう形にしてくれて本当に嬉しいです。死んでいった仲間たちはちゃんと見てくれていて、そこにハンジが加わったのは悲しいですが、みんなと一緒に安らかに過ごしていてほしいなと思いました。
作戦会議
スラトア要塞へ向かう間アルミンの指揮で作戦を考えますが、エレンがあの巨人の姿のどこにいるのかが分からないという問題がありました。
ピークは超大型巨人ならエレンもろとも吹き飛ばすことができるはずと言いますが、アルミンはその最終手段を使うのはエレンとの対話を尽くしてからだと言います。
「最終手段があるに越したことはないが、エレンはジークを介して始祖の巨人を支配してんだろ?」
ジークがどうなっているのか気にはなっていましたが、エレンの骨のどこかにいるとリヴァイは踏んでいるようです。
ハンジは、ジークを殺せば始祖の巨人を支配するという概念そのものがなくなり地鳴らしが止まると考えていたようですね。
しかしジークを探すのも一苦労な気がします…そもそもエレンに近づけるのかという疑問もあります。
「ジークは俺が仕留める。力を…貸してくれ」
リヴァイはやる気でした、エルヴィンとの約束を果たすために。
「もちろんです。この飛行艇を飛ばすために仲間を大勢殺しました。あれを無意味な殺戮にするわけにはいきません」
ジャンの言葉に反応したのはコニーでした。
「俺は…サムエルとダズを撃ち殺して、知ってる顔をめちゃくちゃに切り刻んだ。裏切り者って言われながら世界を救うためだって言い聞かせて…」
そう言うとコニーはライナーの方を向いて言います。
「なあライナー。お前もベルトルトもアニも…つらかったよな…」
コニーの言葉にライナーは自分の手のひらを見つめながら言いました。
「もうあがなうこともできない罪だ…残りの人類を救ったって一生自分を許すことはないだろう。だから…まあ、せめて残りの人類を救おうぜ」
ライナーの言葉にジャンはエレンと同じ言葉を呟きます。
「俺たちは同じだ、ライナー」
ライナーは驚きますがジャンは言葉を続けます。
「お前を責める資格なんてなかったんだ。俺は、人を救うため人殺しになった」
ライナーはレベリオ襲撃のときにエレンに同じ言葉を言われたことをみんなに教えると、エレンの考えてることが少し分かる気がする、と言います。
「エレンは…俺たちに止めてほしいんじゃないのか?」
今度はみんなが驚きますが、ここでアルミンが本領を発揮します。
「ずっと…疑問に思ってた。エレンは…全ての巨人とエルディア人に影響を与えることができる。なのに僕らは変わりなく巨人の力を使えるままだ。まるで…僕たちがどうするのかを試すみたいに」
確かにアルミンの言う通りです。私もエレンがみんなに止めてほしいように見えましたがどうでしょう…
「あいつだって辛いはずなんだ…人類虐殺なんてとても耐えられることじゃない。俺だったら、もう始祖の力を誰かに任せてしまいたい。それができなければ終わりにしてほしい。誰かに…」
これはつまり殺してほしいということ…?ライナーはどうして「誰かに」のところでミカサを見たの…?
と思っていると、突然座標の道へと連れてこられる一行。
どうやらエレンはみんなの会話を聞いていたようでした。何か言いたいことがあってみんなをここに連れてきたのだと思いますが、何がしたいのか。
交渉決裂
アルミンはエレンに語りかけますが、返事がありません。
アルミンに続いてジャンやコニーも叫び、ついにミカサも口を開きます。
「エレン…私は…あなたの罪を一緒に背負いたい。あなたと同じ罪が…私たちにもある。だからもう、私たちを遠ざけないで。だから、お願い。帰ってきて!」
エレン…今ならリヴァイもケツに蹴り入れるだけで勘弁してくれるって言ってるし、戻っておいでよ…
エレンの気配に気付いたのはアルミンでした。姿は見えませんが声が聞こえてきます。
「地鳴らしは止まらない。パラディ島の未来を運に任せて放棄することもない。俺は進み続ける」
その言葉と共に少年エレンが見えるとミカサを筆頭にアルミン、ジャン、コニーが走り出します。
ミカサはいつもエレンの名前を叫びながらエレンの後ろを走って追いかけてきました。なんでいちいち叫んで追いかけるんだろうと思ったこともありました。
そのシーンたちが今ここで全て繋がるなんて…
「もうこれ以上遠くへ行かないでよ!エレン!!」
アルミンの叫びにまたもや涙腺が壊れましたが、エレンの言葉で思考がしばらく正常に働きませんでした。
「俺は自由を手に入れるため世界から自由を奪う。だが、お前らからは何も奪わない。お前たちは自由だ。お前らが世界の自由を守るのも自由。俺が進み続けるのも自由。互いに曲げられぬ信念がある限り、俺たちは衝突する。俺たちがやることはただ一つ。戦え」
アルミンたちは直進していたはずなのに、ライナーたちの元へと戻ってきていました。
エレンが多用する「自由」に狂気を感じたのと、アルミンたちからエレンを奪っていることに気付いていないエレンが別人のように感じました。
「互いに曲げられぬ信念がある限り俺たちは衝突する」という点だけ納得です。殺す以外に手がないのか私にはもう分かりません。
信念というものは簡単に曲げたりできないものです。話し合いで解決できたとしたら、それは片方が譲歩したということになるかと思います。
譲歩はいずれ不満に変わり、不満がいずれ怒りに変わる。そうして怒りを我慢できなくなったとき爆発する可能性はゼロではありません。
もうどちらが正しいのか私には判断できない。
「俺を止めたいのなら俺の息の根を止めてみろ。お前らは自由だ」
そう言ってみんなを飛行艇へ戻したエレン。
「交渉の望みはついえたらしい。どうする…団長」
リヴァイの言葉で88話1−2が終了します。
始祖ユミルと少年エレンが並んで立っているのを見たとき、とても悲しかった。
2000年の時を経て始祖ユミルを解放したはずのエレンは、始祖ユミルと一緒に座標に閉じ込められている感じがしました。
まるで、自分が始祖ユミルを助けたときのように誰かが助け出してくれるのを待っているように感じました。
始祖ユミルとエレンの両方に共通点があるとすれば、それはアルミンたちには考えられないほどの強い憎しみや怒りなのかもしれません。
ライナーの言う通りだとすると誰かがエレンを殺さなければならず、こんな苦しい判断をアルミンがしなければならないという事実が余計に息苦しくさせます。
…あり得ない話だというのは承知ですが、もし地鳴らしを止めなければエレンは生きて戻ってくるのでしょうか?それとも力を使い果たして死んでしまうのでしょうか。
地鳴らしを止めないという選択肢がないのは分かっているのでただの戯言ですがふと気になってしまいました。
次で前編が終わってしまいますが、アルミンはどんな判断を下すのでしょう…
もう現実逃避に入りそうですが前編最後まで見届けたいと思います。
今回も読んでいただいてありがとうございました。
はる子