こんばんは、はる子です。
今回は進撃の巨人完結編前編についてのブログなのでネタバレになる可能性があります。ご注意ください。
私はサブスクで見ていて前編が3つに分かれている形のものを見ていくのでのろのろ更新になります、ご了承ください。
いきましょう。
今回のタイトルは「地鳴らし」です。
88話1−1
冒頭のミカサの言葉。
「行ってらっしゃい、エレン」
そして進撃の巨人1話でのエレンのこの言葉。
「すっげー長い夢を見てた気がする…」
このタイミングでこの言葉を見ると、今までの出来事が全てエレンの夢だとしたらどんなに良いかと感じる言葉だなと思いました。
ミカサの「行ってらっしゃい」で目が覚めている点が気になります。
これだと地鳴らしを後押ししているように聞こえてしまいます…気になる。
ここからサシャの財布を盗んだ少年側の視点が始まりますね。
彼はラムジーという少年で、ハリルという弟もいました。
ラムジーの盗んだお金を山の中に隠し貯めて、キャンプ暮らしのこの状況を打破しようとしているようでした。
しかしラムジーの右手がない。おそらく盗みを働いて罰として落とされたのでしょう…
2人は街の人たちが自分たちよりも上へ逃げていくのを見て疑問に思いますが、地面に触れていたラムジーは揺れていることに気付きます。
次の瞬間飛び立つ大量の鳥、そして見つめた先には大量の巨人。
そして「進撃の巨人」というタイトルがドーン。
格好いいですねえ。
エレンの本当の気持ち
エレンはマーレの街を歩きながら、その場にいる人全てを自分がこれから殺すのだと考えていました。
「きっとこの先もパラディ島が生き延びる道が見つからなかったんだろう…」
地鳴らしは「決定事項」だったという意味でしょうか。未来でどう足掻いてもパラディ島脅威論はなくなることはなかったということでしょうか…
エレンは母親カルラのことを考え始めると「エルディア人安楽死計画」を遂行した方が良かったのかもしれないと考えていました。
それでもやはり、エルディア人だけが死ぬべきという思考には至らなかったのでしょう。
「そんな結末納得できない」
この気持ちは分かります。私でも嫌ですし…お前らが死ねば全てうまくいくと言われても、迷惑だ悪魔だと言われても生きていたいと思うのは全く悪いこととは思えません。
エレンが歩いていると路地裏でラムジーが殴られているのを見つけます。
商売人たちは「分からせるためにしているのだからお前は関係ない」とエレンに伝えます。
エレンはこの光景も未来の記憶で見ていたようでした。
その記憶によるとエレンはラムジーを助けるのですが、どうせこれからこの少年も殺すのに何を思い上がっているんだと立ち去ろうとします。
「暴力の限りを尽くす俺が正義を気取っていいわけないだろ」
しかしエレンは商売人たちを倒してラムジーを背負い、彼の住むキャンプまで連れていきます。
ラムジーはエレンの言語で「ありがとう」と伝え、そんなラムジーを見ながらエレンは心の中でライナーについて考えていました。
「俺も同じだったよライナー。半端なクソ野郎だ」
そういうことだったのか。
エレンにも目的ができ戦うことになったからライナーと同じだと言ったわけではなかった。
ライナーが目的のために動いていたにも関わらず、エレンたちと出会ってそれが鈍ってしまったのと同じくエレンもまた、これから殺す相手の命を救うことによってライナーと同じ「半端なクソ野郎」になってしまったという意味で言っていたのだとここでようやく気付きました。
「いや違う。それ以下だ」
次の瞬間見えたのは、涙を流しながらラムジーに対して謝るエレンでした。
ラムジーはそのときエレンが泣いていた理由が分からないようでしたが、地鳴らしが起きている今その意味が分かったようでした。
祖父の呼ぶ声で我に帰ったラムジーはみんなと合流して逃げようとしますが、正直どこへ逃げても逃げ場がありません。
ここからはエレンが泣きながらラムジーに言った言葉とラムジーたちの今が交互に映し出されます。
「エルディアを救うため…それだけじゃない…壁の外の現実は…俺が夢見た世界と違ってた…」
ラムジーとハリルは2人で街中を走っていましたが、人にぶつかってお金を落としてしまうラムジー。
ハリルはお金を拾うためにしゃがみ込みます。
ハリル、こんなときお金なんて全く意味がないんだよ…
お兄ちゃんが一生懸命集めたお金だからきっとそのままに出来なかったのでしょうが、それが分かれ道となった気がします。
「アルミンの本で見た世界とは違ってた…壁の外で人類が生きていると知って…俺は…がっかりした…」
巨人が壊した家屋が岩となってラムジーとハリルに降り注ぎ、2人は岩の下敷きになります。
ラムジーは脚を潰されて動けない状態に、ハリルの場合は頭に岩が落ちてきてもう息はありませんでした。
「俺は…望んだんだ…全て、消し去ってしまいたかった…ごめん…ごめん…ごめん…」
ラムジーはハリルの奥に始祖ユミルの姿を見ると、巨人に踏み潰されて死んでしまいます。
「ごめんなさい…」
泣きながらそう言うエレンの声と、踏み潰され骨だけになっているラムジーとハリルがずっと手を繋いでいたのがきつかったです…
エレンはうまく比重のバランスをとっているわけでも、非情な人間になっていたわけでもなかった。
彼らをどうでもいいなんて思っていなかったんです。
苦しい、悲しい、怒り、焦り、憎しみ、諦め。
このような感情が一気に押し寄せ、やめることが許されない状況で進むしかないとしたら。
自分の意思ではその感情を払い除けることができないとしたら。
用意された道を進むしかないと思っているエレンの気持ちを考えるととても息苦しく感じました。
ですが捉え方によって難しくなりそうだなと思ったのは、エレンの言葉の中にあった
「壁の外で人類が生きていると知って俺はがっかりした」
というもの。
エレンにとって壁の外に人類がいるという事実は彼を落胆させ消し去りたいと思わせるほどのことだった。
壁の外には素晴らしい世界が広がっていると思っていたのに、待っていたのは自分たちを殺したいほど憎んでいる人類。
自分たちの自由や命を奪おうとしていると知れば、消し去りたいと思う気持ちも個人的には納得できました。
でもエレンはラムジーを始め壁の外にいる全ての人類がそんなやつらだけではないと知ってしまった。
ライナーと同じですね…そしてそれがエレンを苦しめている気がします。
やりたくない、でもやらないと未来の記憶ではパラディ島はこれからもずっと悪魔のまま、ということなのかもしれません。
ジークの祖父母は収監されているようでしたが「きたのね、私たちの裁かれる日が…」と地鳴らしを受け入れようとしているのが印象的でした。
次々と街が潰され人が潰され平らになっていく大陸を見ていると突然登場する『進撃の巨人』。
またどえらい格好ですねエレン…むしろどうやって歩いているんだ…
「生まれた時からずっと…俺の目の前には鬱陶しい壁があった。炎の水、氷の大地、砂の雪原。それを見た者は…この世で1番の自由を手に入れた者。」
エレンのこの言葉を引き継ぐのは少年エレンでした。
「これが、自由だ」
子供のエレンは大空を飛んでいるような描写ですが、一瞬でそこは血の海や瓦礫の山と化します。
「ついに辿り着いたぞ、この景色に…なあ、アルミン」
少年エレンが振り向いたそこにいたのは今のアルミンでした。一瞬だけ座標にいる描写になりますが、すぐに船の上へと戻ります。
アルミンとアニ
ここを見ていて1番不思議だったのは2人の関係性です。
ベルトルトの記憶が影響している説を私はすっかり信じていました。
アルミンがベルトルトを食べる前にアニを気にかけているそぶりが全くなかったし、9つの巨人を継承すると少なからず前の人の記憶を引き継ぐようなことを言っていたからです。
アルミン側にその影響があったとしてもアニに心境の変化があったのは、やはり長い間1人ぼっちで話すこともできず暗闇にいたときにずっと話しかけてくれたからでしょうか。
例に漏れず私が気付いていないだけかもしれませんが、突然の2人のこの関係性を見せられて戸惑いました。(笑)
アルミンは「良い人」に反応しますね。
アルミンが言いたいことは分かるのですが、人をたくさん殺してしまったからケダモノなんだと思えるところこそがアルミンの良さであり「良い人」と言われがちなところだなと感じました。
「まだ…僕らが知らない壁の向こう側があるはずだと信じたいんだ」
このアルミンの言葉の後ろでは無表情のエレンが映し出されていましたが、この言葉はまさにエレンも感じているのでは?と思わずにはいられませんでした。
ここのエレンを見ると、予告でライナーが言っていた通りエレンは助けてほしいのでは?と思ったんです。
もう自分じゃどうすることもできないから誰か止めてくれ、と言っているように見えた気がしました。
オディハ到着
オディハに到着してすぐ準備に取り掛かるジャンたち。ずっと重苦しい状態でしたがミカサがアニとの会話でアルミンに対する気持ちに気付いた場面は、唯一微笑むことができたシーン。
アニの気持ちに気付いてなぜか顔を赤くするミカサも、照れ隠しで「何が!」と言うアニも可愛かったです。
ですがミカサの言葉がもっともすぎて緩んでいた頬を一気にまた引き締めることになります。
「アルミンは私たちと飛行艇に乗り、エレンの元に向かう」
そうなんですよね。穏やかに過ごしてほしいけど、アルミンの目的はエレンを止めることでそのためにはアニとここに留まるわけにはいきません。
アニに「エレンを殺しに行くの?」と聞かれたミカサの言葉、個人的にとても好きです。
「殺さない。遠くに行ったエレンを連れ戻す。私はただ、それだけ」
遠くに行ったエレンを連れ戻す。良い表現だなと思いました。
エレンを殺す必要性を感じていないミカサの気持ちが伝わってきましたね。
ミカサがマフラーをしていないのは、エレンが戻ってきたときに初めてまたマフラーを巻くという意味なのかなと思いました。
そして待望のリヴァイの姿。
寝てなきゃいけないはずなのに起き上がり言ったリヴァイの言葉。
「これ以上寝てたらお前ら俺の存在を忘れちまうだろうが」
そんなことは決してないですが登場しないなとは思っていたのでリヴァイは視聴者のことをよく分かっているなと思いました。(?)
エレンの行き先
リヴァイは骨折のせいで寝込んでいたイェレナを起こしてエレンの次の行き先を聞き出します。
ずっとイェレナが知っているわけないと思っていたのですが、小規模の地鳴らしの際にどこを目指すべきかを話していたのですね。
シーズン5最終話で見た港がおそらくカリファ港で、エレンが次に向かうのは飛行船の研究基地だろうとイェレナは説明します。
ピークはその場所を知っているようで「スラトア要塞」と呟いていました。
「えらく従順に答えたな」と言うリヴァイに対してイェレナはこう言います。
「認めてください。ジークは敗れた…でも正しかった…2000年に及ぶエルディア人問題の解決策は安楽死計画しかなかったのです」
本当に安楽死計画しかなかったのでしょうか…地鳴らしは確かに論外ですが他に手はあったかもしれない…また堂々巡りのこの疑問。
しかしハンジは「認めるよ」と呟くと言葉を続けます。
「エレンになんの解決策も…希望や未来を示せなかった私の無力さを…」
ハンジのこの言葉、重いです。
ハンジも他に方法はなかったのだろうかと常に疑問に思っているように感じる言葉でした。
その頃、ピークはキヨミにお願いをしていました。
船室にガビとファルコを閉じ込め飛行艇が飛び立つまで開けないでくれと頼むピークにキヨミは「あなたは?」と尋ねます。
「死んだ仲間に報いなければなりません。戦士の務めを果たします」
ピークのこの言葉で88話1−1が終了します。
始まってしまった私の完結編前編。
行き着くところは結局「他に手があったんじゃないか」ということな気がします。
パラディ島のみんなのためと言いつつ仲間を泣かせ、死なせ、なのに壁の外の全ての人間が自分たちの自由を奪ってくる人間ではないことも知ってしまった。
地鳴らししか選択肢がなかったような言い方がありましたし、エレンには他にどんな選択肢があったのか。
ハンジもミカサもアルミンも、みんなが「他に選択肢があったなら」という気持ちを抱えている気がしてなりません。
この長い長い旅路の終着点でどんな景色が待っているのか彼らと一緒に見たいと思います。
今回も読んでいただいてありがとうございました。
はる子