こんばんは、はる子です。
今回も、進撃の巨人について語りたいと思います。シーズン3ファイナルです…
前回は、9つの巨人の力の継承者が13年で死んでしまうということや、クルーガーの言葉の意味の考察など、頭がパンクするのかというほどの情報がたくさんありました。
クルーガーがミカサやアルミンの名前を口にした謎も分かりませんし、やっと巨人についての謎が判明したかと思ったところに更なる謎が覆いかぶさってきた感覚です…エレンたちの今後の作戦を今回見ることができるのか。シーズン3ファイナルです。
いきましょう。
今回のタイトルは「壁の向こう側」です。
エピソード22について
冒頭は前回の振り返りから始まります。「進撃の巨人」の名前の意味、個人的にとても好きです。名前だけ聞くと何かに突撃していくような攻撃的な名前に感じていたのですが、自由を追い求めて進んでいくという意味を聞いたときに、進撃という意味合いが自分の中で変わった気がしてお気に入りです。
真実
自分たちの敵が世界だと知り驚く幹部たちでしたが、この真実を住民に知らせたら大混乱になると言い、言わない方が良いと言っているように聞こえました。
しかしここでピクシスが口を開きます。
「ならばまた民を騙すか?レイス王がやったように、何も知らない民をこの壁の中で飼おうというのか?ならば、我々には何の大義があってレイス王から王冠を奪ったのだ?」
そう、王政が住民の記憶を消したのではないかという疑問が真実になり、それを止めようとレイス王を倒したはずでした。それなのに、発覚した真実を住民に話さないのであれば、住民は今まで通りの生活を送ることになり、王政の在り方を強制的に変えさせた意味はどこになるのだ、ということですよね。
「公表しましょう」
そう言ったのはヒストリアでした。女王のこの発言に場はざわつきますが、ヒストリアは言葉を続けます。
「100年前、レイス王が民から奪った記憶を100年後の民にお返しするだけです。我々は皆、運命を共にする壁の民。これからは一致団結して力を合わせなくてはなりません」
この言葉で、真実は瞬く間に住民に広がりました。
人類を脅かす人喰い巨人の正体は人間であり、我々と同じ祖先を持つ民族、ユミルの民だったということ。そして我々の王は100年前にこの壁を築き、巨人の力で民衆の記憶を改ざんし、壁の外の人類は滅亡したと思い込ませたこと。しかし人類は滅んでなどおらず、世界は我々ユミルの民をこう呼んでいること。
「悪魔の民族」。
そして、敵は近い将来、この土地の資源獲得を口実に侵攻を開始するだろうということ。しかしそれはすでに起こってしまった。5年前の、超大型巨人らの襲撃がそれであること…
新聞でそのことを知った住民たちの反応はそれぞれで、内容をそのまま受け取る者や、笑い飛ばす者、兵政権に異を唱え陰謀論を結びつけて吹聴する者など、様々でした。
ハンジとリヴァイは、新聞を書いた記者のピュレとロイと一緒にお茶を飲みながら住民の反応について話していました。彼らもにわかには信じられないようでしたが、個人的にロイの言葉が興味深いと感じました。
「私たちが巨人を恐れ、憎み、どうかこの世から消えてなくなれと願ったのと同じように、世界中の人々が我々を人ではなく有害な化け物とみなした。その結果あの地獄が繰り返されるのだとしたら…我々が死滅するまで…地獄は…終わらない…」
マーレの人々からしたら、この感覚は長い間持っていたのかもしれません。彼らの歴史では、エルディア人は悪魔の民族で、自分たちをいつ襲ってくるか分からない化け物ですからね。
しかし私は正直、この真実を突きつけて壁の中の人類を攻撃するのは理不尽に感じて仕方ありません。知らなかったでは済まされないと言うかもしれませんが、彼らの場合はそれが通用すると思っています。自分たちのルーツすら知らなかった人類が、突然巨人に襲われ、人類にも襲われ、一体何が出来るでしょう?まさに地獄です。
何が正しいか
エレンたちは勲章を授与されることになり、ホールで準備をしながら待機していたところでした。そこへヒッチがやってきて挨拶をします。平静を装っていますが、ジャンがマルロのことを口にしたことで少し表情が曇ります。
実際にそばにいたフロックがマルロの話を伝えるのですが、ここでフロックはヒッチに対してこう言います。
「でも最期は、あそこに行ったことを後悔しただろう」
ヒッチは苦しそうな顔をするとその場を離れていき、ジャンはなぜそんなことをヒッチに伝えたのかを聞きます。フロックは「誰かが本当のことを言うべきだろ?」と言い、アルミンの方を見ます。アルミンのことを言っているのだな、とすぐに気付きました。
アルミンは、自分から話題を振りました。「君が、エルヴィン団長を生き返らせようと必死だったことは知ってる」と。そしてフロックも「団長がふさわしいと思った」と返し、言葉を続けます。
「でもそれは俺だけじゃない。みんなだ。報告書を読んだ誰もがそう思った。『なんでエルヴィンじゃないんだ』って!」
アルミンは俯きますが、エレンが口を挟みます。
「お前がアルミンの何を知ってるって言うんだ?言ってみろよ!」
フロックは「俺は幼馴染じゃないし、仲良しでもないから知らない」と答えましたが「なんでアルミンが選ばれたかは分かる」と言いそのまま続けます。
「お前ら2人とリヴァイ兵長が私情に流され、注射薬を私物化し、合理性に欠ける判断を下したからだ。要は、大事なものを捨てることが出来なかっただろ?」
フロックはこの言葉を知っていて使ったわけではないと思いますが、アルミンにとって「大事なものを捨てることが出来なかったからだろ」という言葉はかなり重かったのではないかなと思います。実際、アルミンは自分の命を代償にあの戦いを勝利に導きましたからね。
エレンはフロックに詰め寄りますが、逆にフロックに痛いところをつかれたような表情をして彼の話を聞くことになります。
「お前って腹の底じゃ何だって自分が1番正しいって思ってんだろ?だから最後まで諦めなかった、聞き分けのねえガキみてえに。その点ミカサはまだ大人だった。最終的には諦めたんだから」
そしてフロックは、その場を収めようとしたジャンやコニー、サシャ、そしてその場にいる全員に自分の気持ちをぶつけます。
「お前らは、上官に刃向かうわけでもなく、エレンとミカサを止めるわけでもなく、ただ見てただけだったよな?何の勲章だ?誰を弔う?これから補充する調査兵団には本当のことを言えよ。俺みてえな腰抜けが間違って入ってこねえようにな!エルヴィン団長なしでこれからどうするつもりなんだよ!そりゃ、俺みてえな雑魚…使い捨てるぐらいしか使い道もねえだろうが…そんな雑魚にだってなあ…値踏みする権利くらいはあるだろ…」
正直、フロックの言っていることって間違ってはいないと思います。ただ、正しいかと言われると分かりません。それぞれに考えがあり、感情がありますからね。しかしアルミンは「フロックが正しい」と呟きます。
「エルヴィン団長が生き延びるべきだった。この状況を変えることができるのは、僕じゃない…」
エレンはアルミンに「何が正しいかなんて分からない」と言い、アルミンに「壁の外を見たのかよ」と尋ねます。アルミンが夢焦がれていた海や、炎の水、氷の大地、砂の雪原…壁の外に何があるか、自分たちは知らないと話し、アルミン含め他の全員も勇気づけようとしたのかもしれません。
「きっと壁の外には、自由が…」
ですが、エレンはある光景を思い出して言葉を止めます。
飛行船、犬に噛み殺されたフェイ、壁。
エレンは実際に見てはいなくても、壁の外にどのような世界が待っているのかを知っています。それは本当に自由なのか?あの場所へ行けば自由になれるのか?とてもじゃないけど嘘をつくことが出来なかったのかもしれません。
アルミンは不思議そうにエレンを見ますが、リヴァイによって全員は整列することになります。エレンがミカサとアルミンに自分のことについて話していないので、アルミンはエレンの様子がおかしいことには気付いていますが、それが何なのかは分かっていないようですね。
ヒストリア女王によって勲章が捧げられ、1人1人がヒストリアの手の甲に感謝の意を表す口づけをしていきますが、エレンは1人考えごとをしていました。
(地下室にあったものはなんだ?希望…だったのか?それとも絶望か?敵は果てしなく強大だった。このまま何も変わらなければ、またあの惨状が繰り返される。何かを変えることができるなら…自分の命ぐらい、いくらでも捧げてやるのに…俺には、ヒストリアを犠牲にする覚悟がない。どうすればいい…こんなこと誰にも…)
いつの間にかエレンの番になっており、ヒストリアの手の甲に口づけをしたとき、2人の間に小さな光が走り、グリシャの記憶であろうものがエレンの脳内を駆け巡ります。
グリシャは、レイス家の全員に自分の素性を明かしていました。自分は壁の外からきたエルディア人で、同じユミルの民であること。そして、壁に攻めてきた巨人を殺すように頼んだこと。一瞬葛藤した表情を見せたフリーダが、突然穏やかな表情になり不戦の契りに負けてしまった様子だったこと…
長いこと手を握っているエレンを不審に思ったヒストリアがエレンの顔を覗き込むと、そこには鬼の形相をしているエレンがいました。
海を見に行こう
降り積もった雪が溶け出した頃、ウォール・マリア内の巨人が掃討されたことが分かり、街道の舗装事業を開始する頃には草花が芽吹き、蝶が舞っていました。避難住民が故郷に帰ることが出来たのは、トロスト区襲撃から1年が経過する頃で、彼らは1年越しに故郷の地を踏み締めることが出来たのです。
そして、最初の超大型巨人襲来から、6年。
調査兵団はウォール・マリア外の壁外調査を開始します。巨人はほとんどおらず、あの頃の巨人はほぼウォール・マリア内にいた巨人だったことが分かりました。つまり、調査兵団が巨人たちを討伐し続けたことで、約1年でほとんどの巨人を淘汰してしまったのですね。
彼らが向かっている場所は、エレンが記憶で見た、あの場所。たくさんのエルディア人が巨人に変えられてしまった場所でした。
道中やっと1体の巨人に出会いますが、動いておらず這ったまま壁まで向かおうとしていたようでした。足が未発達で歩けなかったのでしょう。とても遅いスピードだったのか、這ったあとの道には新しい草木が芽生えていました。
エレンは、その巨人の顔に触れるとこう呟きます。
「楽園送りにされた…俺たちの同胞だ」
フロックは巨人を倒さなくていいのかと聞きますが、他の兵士は皆前を向いて進み出してしまいます。フロック含めコニーやサシャもハッとした表情をするのですが、フロックには巨人が同胞だといきなり言われても心の整理ができないようでした。
走り続けていくと、いつしか地面は草ではなく砂へと変わっていました。目の前には壁がそびえ立ち、その壁を抜けると、そこにあったのはアルミンがずっと焦がれていたもの。
海がありました。
海を見るのは初めてで、みんないい表情をしていました。あのリヴァイでさえも、自分の目が信じられないといった表情をしていました。
幼少期、本を見ながらずっとずっと憧れていた海。目を輝かせて壁の外の世界について語っていたアルミン。
夢見ていたものが目の前にあり、それを肌で感じることが出来ました。
足を海につけて、不思議そうにするアルミンをよそに、コニーとサシャは水を掛け合い海水がサシャの目に入り痛がります。この2人が楽しそうなところを見るだけでも心が救われます。
ジャンは海水を舐めてみて、そのしょっぱさを確認していました。こちらも可愛い。
ハンジも興奮していて、研究心に火がついてしまった感じがしましたね。目の前にある得体の知れないものを「あ、何かいる」と触ろうとしてリヴァイに止められているところが無邪気でした。
リヴァイは1人、海には入らず砂浜で様子を見ていました。性格が出ますね。
アルミンは足元に落ちていた貝殻を両手ですくい、少し波が立ったことで驚いたミカサと目が合います。ここ、私がとても好きなシーンです。2人してしばらく見つめ合うと、ミカサが満面の笑みで笑うんです。それに安心したのかアルミンもつられて微笑み、これが夢じゃないことを再確認しているようでした。
「ほら、言っただろうエレン?商人が一生かけても取り尽くせないほどの巨大な塩の湖があるって…僕が言ったこと…間違ってなかっただろ?」
アルミンは目に涙を溜めてエレンにそう話しかけ、エレンも「ああ…すっげえ広いな」と返すのですが、様子がおかしいです。アルミンが続けてエレンに話しかけ「壁の向こうには…」と言いかけると、エレンがその先を続けます。
「海があって、海の向こうには自由がある。ずっとそう信じてた。でも、違った…海の向こうにいるのは…敵だ…何もかも、親父の記憶で見たものと同じなんだ…」
エレンは、海の彼方を指差して言います。
「なあ…向こうにいる敵、全部殺せば…俺たち…自由になれるのか…?」
エレンのこの言葉と共に、シーズン3エピソード22が終了します。
終わってしまいました…そしてエンディング。この音楽はもう泣かせにきていますよ。そしてエンディングで流れる映像が、いかにも戦争を表現していて見るのが辛かった。まるで、これからこれがエレンたちに起こることなんだと思わせられます。
エレンだけが、壁の向こうで起こっている出来事を、グリシャの記憶を通して知っていて、海にたどり着いたことも素直に喜ぶことが出来ていませんでした。もしかすると、海なんてなかったら良かったのに、と思っていた可能性もあるのかなと感じました。海がなければ、記憶が間違っていたことになり、壁の外で起こっていることも事実ではない可能性が出てきますからね…
「親父の記憶で見たものと同じなんだ」と悲しそうに言っていたのには、そういう理由があるのかなと深読みしてしまいました。
シーズン1の頃は、まさか海を見に行くことができるなんて考えてもいなかったと思います。シーズン3でようやく海を見ることが出来たものの、これからエレンたちは巨人ではなく、自分たちの同胞を巨人に変えた人類たちと戦っていくことになるのでしょう。
話し合いは、出来ないのでしょうか。マルコが言っていたように「まだちゃんと話し合っていない」のではないでしょうか。お互いがお互いの存在を悪と決めつけ、傷つけ合うことにどんな意味があるのでしょう。
確かに巨人は存在します。なぜ巨人などというものが存在するのかの解明はするべきでしょうが、私には何を信じたらいいのかもう分かりません。マーレが正しいのか、エルディアが正しいのか。そもそも彼らの大陸の他にも民族はもっとたくさんいるのではないか。他の民族も巨人になれることが分かれば、その民族も「悪魔の民族」と称し大虐殺をするのか。
傷つけられるから、傷つけ返す。やられる前にやる。どちらか一方でも平和的解決を望まない限り、その関係性はずっと続きます。その結果2000年以上も続いてしまったのがマーレとエルディアです。
今後、進撃の巨人は対巨人ではなく対人類との戦いになると思います。見るのも読むのもキツくなってくるかも知れません。ですが、この世界が残酷ではなくなる瞬間を夢見て進んでいきたいと思います。
今回も読んでいただいてありがとうございました。
はる子