こんばんは、はる子です。
今回も、進撃の巨人について語りたいと思います。
前回は、やっと、やっと地下室へと辿り着くことができ、エレンたちはグリシャの残した世界の真実が書かれている本を手にすることができました。
そしてグリシャが若い頃の物語を少しだけ見ることができましたね。グリシャもまた壁の中で生活をしていたようですが、エレンたちの壁とは少し違うように感じました。
これから、全く別の世界が始まる気がしてなりません。
いきましょう。
今回のタイトルは「あの日」です。
エピソード20について
冒頭は、またもやオープニングなしで始まるのですが…グリシャと妹のフェイが壁の外に出たところ、そこに広がっていたのは私たちからしたら「昔」の光景。ですがグリシャたちからしたら「未来」のものでした。
車は走り、道は舗装され、街灯もあり、服装は洋風で、一体いつの時代なのかと混乱するほどの発展ぶり。エレンたちの壁の中はこの時代よりももっと後のはずなのに、時代が後転したかのような街並みでしたよね。
そしてグリシャたちもまた、同じように感じていたようです。
やっと、世界の真実を見ることができるこの瞬間に、心臓がバクバクしています…
世界の真実
グリシャとフェイは、壁の外にある街を歩いていたのですが、通行人が2人に気付くと、何もしていないグリシャにぶつかり「悪魔の血め」と呟きます。そして、彼らのことを「エルディア人」と呼びました。
この世界にも人種が存在したのですね。
おそらくグリシャとフェイが腕章をつけている理由は、彼らがエルディア人だと分かるようにしているのだろうと思います。
2人は土手まで行くと、目の前に広がる光景に目を奪われました。
青い空、きらめく川、そして飛行船。
フェイの喜ぶ姿を見て嬉しそうにするグリシャでしたが、長くは続きませんでした。
「お前たちも飛行船を見に来たのか?レベリオ収容区の者だな、外出許可証を見せろ」
クルーガーという、警察官のような男が2人に近づき、グリシャが許可証を持っていないと言うと「労働か、制裁か」と聞きます。無許可で市内に入ってはいけないという規則があるようでした。
グリシャは制裁を選び、クルーガーという男に殴られてしまいます。妹の分も自分に制裁をと言ったグリシャが何発も殴られている間に、クルーガーと一緒にいたグロスという男は、フェイを連れて先に戻ってしまいます。
フェイは翌日、川で発見されました。グロスはレベリオ手前まで送ったがその後は知らないと言うと「そもそもエルディア人の子供が許可もなく街をうろつくのが悪い」と言い放ちました。
「お前の息子は一族の立場をよく理解していないようだが、お前らの先祖が犯した過ちはしっかり教育しているんだろうな?」
歴史の話のようですね。エルディア人が過去に何か罪を犯し、その罪を現代の人間も背負って生きていかなければならない、と別人種の人間に責められているわけですか。なるほど。
グリシャの父親はグロスに対して「ご指導ありがとうございます」と言いその場を収めると、グリシャに「教育」をし始めます。グリシャの父親によると、こういうことです。
今から1820年前、エルディア人の祖先「ユミル・フリッツ」は、大地の悪魔と契約し巨人の力を手に入れます。ユミルは死後も9つの巨人に魂を分けてエルディア帝国を築いたようですが、その時に大国マーレを滅ぼしその大陸全ての支配者となった、と。
そして「ユミルの民」は他の民族を全て自分たちよりも下だと決めつけて弾圧を始めます。土地、財産、奪えるものは全て奪い、他民族に無理やり子を産ませることでユミルの民を増やしたそうです。ユミルの民とはつまりエルディア人のことですよね。
そしてそれが、約1700年も続いたそう。すごい。ですがマーレは9つの巨人のうちの7つも手駒に変えて、80年前の巨人大戦に勝利した。当時のエルディアの王は、パラディ島と呼ばれる島に3重の壁を築き、国民と共にそこへ逃げ込んだらしいです。
見捨てられたその他のエルディア人(ユミルの民?)は大陸に取り残されたが、寛大なマーレ人に救われた、だからマーレ人は命の恩人だ。とこのようなことを延々とグリシャに聞かせたのですね。
ここで分かったことは、エレンたちはエルディア人ということと、彼らが住んでいるのはパラディ島と呼ばれる島であること。グリシャたちは、取り残されたエルディア人ということになります。
グリシャは小さな声で「あの男は嘘をついてた」と呟きますが、父親はグリシャを怒り「我々の祖先は大罪人だ」と訴えます。
「俺もフェイもそんなことしてない!!!街を歩いただけだ!」
父親はグリシャに、自分たちをフェイと同じ目に遭わせないでくれ、と伝えます。私にはこれがグリシャに対する脅しに見えました。グリシャにこんな過去があったなんて、思いもしませんでした。
グリシャは18歳になり、父親の診療所を継ぐために働いていましたが、ここで「同胞」と呼ばれる組織に出会いグリシャの人生が変わることになります。体に十字のような傷がある理由を尋ねたグリシャに、グライスという青年がグリシャを誘いました。
会合に顔を出したグリシャは、フェイの死の真実を知ることになります。フェイは、野犬に襲われたとされていましたが、グロスによって故意に犬に噛み殺されていたことが分かったのです。とんでもない男、グロス。
グリシャはこの真実を聞いて、自分の胸にも十字を刻み、エルディアを復活させるための活動をしていくことになります。この組織にはマーレ政府の内通者「フクロウ」がおり、誰もその姿を見たことはないものの、エルディア復権派を導いていたようでした。
そしてグリシャが話すユミルの歴史は、父親が話したそれとは全く別物でした。ユミルは巨人の力に目覚め、荒地を耕し、道を造り、峠に橋を架けて人類の生活を豊かにして大陸を発展させたのだと。どちらも極端なまでに内容がお互いに寄っています。片方はマーレに、片方はエルディアに。
グリシャはこの頃、フクロウが遣わした王家の血を引く「ダイナ・フリッツ」という女性と出会い、この女性と結婚し子供が生まれます。名前は、ジーク。エレンたちが見つけた写真に写っていたのは、グリシャとダイナ、そして幼いジークだったのです。
グリシャは、王が壁の中に持ち去った「始祖の巨人」の力で全ての巨人を支配することで、マーレを滅ぼすことができると言いますが、他の同胞から「なぜ王はその力を使わず島まで退いたのか」と疑問の声をあげます。
ここで説明をしたのはダイナでした。王は、大陸内の力の均衡を保つという役割を放棄し、戦うことを否定して島に逃げたのだと。自分たちの惨めな日々は、王が争いから目を背けたことから始まったのだと。マーレを打倒しエルディアの復権を目指すグリシャたちでしたが、月日が流れ状況が変わると、マーレはある作戦を企てます。
エルディア人の中から7人、巨人の力を継承する器として「マーレの戦士」を募ったのです。その理由は、パラディ島にある莫大な化石燃料。ただ乗り込めばいいはずですが、80年前、巨人大戦の時に王が言い残した言葉がそれを躊躇させているようです。
「今後我々に干渉するなら、壁に潜む幾千万の巨人が地上の全てを平らにならすだろう」
つまり、マーレはパラディ島に眠る化石燃料を手に入れたいが、生身の人間が行っても勝てそうにないので「マーレの戦士」としてエルディア人に巨人の力を継承させ、その巨人たちに壁の中にいる「始祖の巨人」の力を奪わせ、壁に潜む幾千万もの巨人を支配し、化石燃料も奪う、と。
マーレに先を越されると焦る同胞たちに、グリシャはとんでもないことを決意してしまいます。
自分の息子、ジークをマーレの戦士にすると。
いつしかグリシャは、かつての父親と同じことを自分の息子にもしていました。自分たちの思想を叩き込み、関係のないジークをマーレの戦士にさせ、自分たちの思想を叶えるための道具にしようとしたのです。その結果ジークは、ダイナとグリシャを見捨て、2人を政府に渡すことを決めてしまいました。
フクロウの正体
グリシャは、同胞たちと共に楽園とされているパラディ島へと連れてこられ、壁の上に並べられます。グリシャのそばに立っていたのは、クルーガーでした。飛行船を見に行った時の、警察官だと思った人物です。マーレ政府の人間だったのですね。
次々と同胞が巨人にさせられていく様子を、ただ見ることしかできないグリシャ。私が理解力がないからかもしれませんが、なぜマーレ人が巨人の脊髄液を持っているんでしょうか…そのような描写はありましたっけ…?
そしてグリシャは、フェイを殺したグロスもこの場にいることに気付きます。彼は同胞の1人であるグライスを人間の姿のまま壁から落とし、巨人化させた同胞に追わせるという非道な行為をしてみせます。
グリシャの隣には、いつの間にかダイナがいました。ダイナが王家の人間だということを知らなかったのか、ダイナにも脊髄液を注射し巨人化させると、グリシャは彼女の名前を叫びます。
そして次の瞬間、涙を流しながら叫び起き上がるエレンの姿がありました。
エレンは、グリシャの記憶を見ることができたのです。
私も一瞬混乱しましたが、兵規違反をしたエレンとミカサが懲罰室に入れられているところでした。エレンの叫び声で隣の懲罰室にいたミカサが檻の近くまで来ますが、寝癖…可愛い…(笑)いつも朝に寝癖を直していたんだと思うと可愛いです…
そして外で見張り番をしていたのかアルミンもいて、エレンに声をかけていました。エレンは記憶と自分が入り混じってしまったのか、自分を「私」と呼んでいて、エレンが「あの巨人…お前だったんだな」と言うと、エレンが知るはずのないその名前を呟きます。
「ダイナ…」
そう、エレンの母親カルラを食べたのは、ダイナだったのです。
人の心のないグロスは、ダイナに対してもグリシャに対しても失礼極まりない言葉を吐き、グリシャの限界は突破します。ついにグリシャは、グロスに「妹を殺したのはお前だろ」と叫びます。グロスは「思い出した」と言うと1人の同胞を巨人にするから戦ってくれとグリシャに言います。
「なんで…こんなことするんだ?」
グリシャの疑問は至極真っ当です。この真っ当なグリシャの疑問に対して、グロスは至極、極悪非道な返答をします。
「なんでってそりゃ、面白いからだろ?」
マーレだからなのか、エルディアでもこうなっていたのか。おそらくこのグロスという人間性なのでしょうね。マーレに生まれ落ちてしまったがために、この人間性に拍車をかけてしまったのでしょう。
ベラベラと自分の考えを語っていますが、人間は「自分が死ぬのは今日かもしれん」と感じて生きていて、グロス自身はその心構えができているようですね。そしてあろうことか、フェイを自分の息子たちの犬に食わせたのも「教育」だと言ってのけます。
「心は痛まないのか?」と聞くグリシャに対し、もし自分の息子が同じ目に遭ったらと思うと胸が締め付けられると言うグロス。「エルディア人でさえなければな」と。巨人の脊髄液を体内に吸収しただけで巨人となってしまう、そんなエルディア人を「この世から1匹残らず駆逐する」。それが全人類の願いなんだと言いました。
グロスはグリシャを掴み、壁の下にいる元同胞の巨人と戦わせるために突き落とそうとしますが、クルーガーが突然とんでもない行動に出ます。
グロスを、突き落としたのです。
正直、いい気味だとしか思いませんでした。そしてこの元同胞の巨人化した姿は、エレンたちが戦っていた巨人のうちの1体でした。どれ程遠いのか分かりませんが、巨人はここからみな、壁の近くまで進んで行ったのですね。
そしてクルーガーは、自分の正体を明らかにします。
「俺がフクロウだ」
そして、クルーガーは言葉を続けます。
「覚えておけよグリシャ。巨人の力はこうやって使う」
その言葉と同時に、クルーガーは自分の手をナイフで切りつけると、凄まじい光が一瞬にして放たれました。
クルーガーは巨人だったのです。
しかも、その姿はどことなくエレンに似ていました。クルーガーはパラディ島まできた船を壊し、人間たちは振り落とされ、エピソード20は終了します。
まず、世界はとても広くて、グリシャの住む場所はエルディア人とマーレ人がいること、そしてそれぞれが各々の歴史を持っていることを知りました。正直これは、どちらが正しいのか私には判断できません。当時生きていた人の話を聞くことができないからです。
歴史書はただの文献に過ぎず、自分たちの都合のいいように塗り替えることができることを私たちは知っています。レイス家がパラディ島の住民にしたように、マーレがエルディアに、そしてエルディアがマーレにしたように。
争いは、いつだって歴史が関係してきます。先祖が犯した罪を何世にも渡って背負わなければならないのであれば、人々は発展せずいつまでも殺し合いを続けることになるでしょう。
グリシャはマーレを倒そうとして息子を息子と思わなかった。結果としてジークに売られ、そのジークはグリシャを憎んでいるでしょう、グリシャが自分の父親に感じたのと同じように。そしてエレンは、母親を殺し、仲間を殺し、ハンネスも殺した巨人を憎み、巨人をけしかけてきたライナーたちも憎んでいるでしょう。
そんなジークとエレンは母親違いの兄弟で、全く別々の未来を描いているように感じます。ジークがなぜマーレの味方をするようになったのかはまだ分かりませんが、結局エレンは、ジークと同じくグリシャの駒になっていたのかもしれません。
母親や仲間を殺されたことで巨人に対する憎しみが生まれ、自分たちを殺そうとしてくる巨人になれる人間を殺したいと思った。そんなエレンがジークと出会い、どのような変化をもたらすのか非常に興味深いです。
今回も読んでいただいてありがとうございました。
はる子